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日々の雑感や、様子を綴ったコラム
-- 2025.01.11
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-- 2014.03.11
STAP 細胞の論文を巡る議論の収拾がつかない。論文内容を精査するほど専門分野は近くないが、同じ科学者として少しだけコメントをしたい。

 まず、研究者でない方にもわかってほしいのは、研究者が成果を論文にするということは、

「完全なる解明」さもなければ「偽造」

…こんな両極端な話では ない、ということだ。

 発表された科学的内容が再検証・覆るという事は、理論系 ではよくある。
 たとえば宇宙物理、素粒子理論の研究はこれの繰り返しで、実験で証明されて初めて認められる。(ヒッグス粒子の予言は、去年実験でその存在が確認されてノーベル賞を受賞した。実験で証明されなければノーベル賞はもらえなかっただろうが、実験で証明される前に論文を出していなくてもノーベル賞はもらえなかっただろう。)

 逆にいえば、実験系 の論文内容が覆るという事は、(往々にして起こりうるけど)発表後には起こるべきではない。ボクは実験化学者なので、昔、論文を書く時に指導教官から、

― 未解明の点が残るのは常なので、それを気にしていては 永遠に論文は出せない
― ただし、論文の根幹となる結論が覆るようなことは あってはならない。そのため、未解明の点を把握し、それがどう転んでも(仮に細かい修正が入ることがあったとしても)結論が変わらない段階で論文を出すこと。

とよく指導された。つまり、意図的に欺くつもりがなくても、「どこまで結論付けてよいか」の見極めを誤ると大変なことになる。特に今回の STAP 細胞は信じがたいようなインパクトのある実験結果なので、その辺は大丈夫かなという心配は同じ研究者としてある。

 心配を増大させる要因として、英文の転用 も報道されていた。論文を書くとき、

「信頼できる熟練者の書いた論文の良い表現は、どんどん盗んで使えばいい。ただし、丸々同じという箇所は 一文たりとも残すな。」
※ 例外はあり、ルーチン実験の手順・使用装置の記述は『自分が出した論文』をコピペ しても文句は言われない。

というのは常識的なお約束だ。これは科学的内容の是非とは直接関係ないことだが、こういうマナーを守らないと論文の信ぴょう性まで疑われかねない。この点に関しては、該当部分の文章を書いた人のみの倫理観の問題(著者は全員 PhD なので)であり、他の共著者にまで責任を課すのは酷である。(今回は大勢の人の目にさらされたことで指摘されたが、そうでもなければ他の共著者が過去の論文一文一文をチェックすることなど、事実上不可能なので。)

 このように、今の段階で既に研究論文として、また研究グループとしての未熟さが少し露呈してしまったわけだが、それもこれも大発見に近づくための代償といったところか。まさか著者らが意図的に欺いた偽造などという 最悪なシナリオにはならない と、信じている。


 ボクの書く論文も、誰かが英文の転用がないかチェックをしてくれる日が来ますように!その誰かはきっと、ケチをつけられず “おもしろくない” だろうけどね(笑)
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Comments
2014.04.01 追記
意図的なデータの偽造という「最悪なシナリオ」になった。無念だ。

「理研、さらには日本の研究プロジェクトの推進の仕方に問題がある」といった議論もある。そうかもしれない。しかし、だからといって著者達(特にオボちゃん)の責任が緩和されるわけではない。お偉いさん方も反省・責任を取る必要があり、見直しを図らなければならない --それだけの話。

オボちゃんのアカデミックキャリアは、もう終わりだろう。
理研が何かしらの形で拾う以外、道はないだろう。知ったこっちゃないけど。

さよなら。
Posted by Atsuro - 2014.04.01,Tue 11:21:50 / Edit
せめてSTAPがあれば…
なんかマスコミの報道は科学的な観点がすっぽり抜けてておもしろくないね。
トカゲの尻尾切りとかそんな話じゃないでしょ。

裁判沙汰にして法的に地位保全がどーたらよりも、さっさとSTAP細胞の証明して欲しいなあ。できるのなら。
悪意がどーたら争う前に、さっさと正しい画像に差し替えなさいよ。

おぼちゃんはバカンティさんが拾うんじゃない?

にしてもさすが自分はきっちり教育されてるね~
Posted by 2 - 2014.05.20,Tue 22:03:28 / Edit
> 2
うむ、はっきり言って科学的には、ポジテイブでもネガティブでも証拠が出されない限り、どうでもいい話になってしまったよね。
おぼちゃんの発言は、本気で言っていたのか、弁護士に言わされたのかも不明。どっちにしろ、もう終わりだがね。。。

最近は、ネットで目次を見ても、記事すら見なくなったよ(笑)
あとは、上の方の研究体制の改善かな。

F先生には、細かーいことまで逐一チェックされてたけど、今思えばこういうことの積み重ねが研究指導というものなのかな。
この前話したら、「ボクがあの博士論文や論文をチェックしたら、絶対に気付いた自信がある」って言ってたよ。
Posted by Atsuro - 2014.05.21,Wed 15:34:58 / Edit
無題
マジか!
さすがF先生凄いな~
うちのA先生も細かいから気づきそうやけど。

俺は気づく自信ない(笑)
画像の切り貼りは分かるやろうけど、コピペはなぁ…

にしてもアカデミックと普通の会社組織を一緒の方法論で語っちゃダメだよね。
Posted by 2 - 2014.05.28,Wed 22:20:05 / Edit
> 2
どうしてコピペに気付くか。F先生曰く、

「(特にイントロで)数十行にわたり、引用文献がないなんてことはあり得ないから。仮にコピペをしていなくても、そもそも引用文献のないイントロなんて、全然ダメ。」

「自分んとこで持ってる装置の名前くらい、全部わかってるよ。」

言われてみれば、たしかにその通り。というわけで、見抜けなかった側にも、やはり責任はある。尤も、筆頭著者も “博士” だから、そんな低レベルな次元で信頼関係を築けなかった、責任を取らなければいけないというのは、非常に気の毒もするが。

もはや、おぼちゃんはどうでもよくて(科学者として論外だから)。。。
一連の騒動がきっかけで、理研(ひいては日本の国研・大学)の改善すべき点については、これからもポジティブな論争を続けてほしいよね。

アメリカのようなテニュアトラック制(任期付き)は一理あるが、日本のような講座制も一理ある。ただしミックスするのではなく、大学(少なくとも学部)毎に統一してくれないと、まったく機能しないように思う。阪大化学科のように(苦笑)

理研で任期制が9割近いとは知らなかった。
再任なしの任期制は、若者ではなくて60越えた教授陣に適用してほしいね(笑)やる気のない教授は60歳で引退。実力と働く気のある教授は、予算が取れる限り現役。そういう教授にとっては、任期制でもへっちゃらだろう。
Posted by Atsuro - 2014.05.30,Fri 06:45:00 / Edit
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