日々の雑感や、様子を綴ったコラム
-- 2014.07.11
ストレスを抱えている方、睡眠不足の方、世界で一番美しいのは誰か聞きたい方、ナルシストの方、つまり皆さん、
自分の顔を鏡で見てみましょう!
まずは顔の各パーツをチェックするため、顔から 10 cm のところに鏡を近づけます。でも、これだと顔全体が見えないので、次は 100 cm ほど鏡を離してみます。
どうですか?鏡を遠くに置いて、顔全体がよく見えるようになりましたか?
…結論からいうと、「鏡に映って見える範囲は、鏡の位置によらず同じ」
です。つまり、鏡を遠くに離したからといって、近くに置いた場合に比べて見える範囲が広くなることはありません。
下の図を見て下さい。鏡に映って見える範囲は、自分の目と鏡の端を直線で結び、再びはね返って(反射して)きた点よりも内側の部分です。鏡を遠くに離した場合、目と鏡の距離は長くなりますが、反射する角度も変わるので結局、見える範囲が同じであることがわかります。
ただし、あまりに鏡を近づけた場合、鏡に映った範囲をすべて見るためには眼球を動かさなければならないので、その分は遠くに鏡を置いた場合よりも見にくいかもしれません。
もう一つ、図より(顔よりも前の位置で)鏡に映る範囲は鏡の大きさの二倍分であることがわかります(点線で描かれた三角形が、二等辺三角形であることに注目!)。逆にいえば、顔の大きさの 半分の鏡 があれば、自分の顔全体を ミラーれる ということです。ね、面白いでしょ!?
自分の顔を鏡で見てみましょう!
まずは顔の各パーツをチェックするため、顔から 10 cm のところに鏡を近づけます。でも、これだと顔全体が見えないので、次は 100 cm ほど鏡を離してみます。
どうですか?鏡を遠くに置いて、顔全体がよく見えるようになりましたか?
…結論からいうと、「鏡に映って見える範囲は、鏡の位置によらず同じ」
です。つまり、鏡を遠くに離したからといって、近くに置いた場合に比べて見える範囲が広くなることはありません。
下の図を見て下さい。鏡に映って見える範囲は、自分の目と鏡の端を直線で結び、再びはね返って(反射して)きた点よりも内側の部分です。鏡を遠くに離した場合、目と鏡の距離は長くなりますが、反射する角度も変わるので結局、見える範囲が同じであることがわかります。
ただし、あまりに鏡を近づけた場合、鏡に映った範囲をすべて見るためには眼球を動かさなければならないので、その分は遠くに鏡を置いた場合よりも見にくいかもしれません。
もう一つ、図より(顔よりも前の位置で)鏡に映る範囲は鏡の大きさの二倍分であることがわかります(点線で描かれた三角形が、二等辺三角形であることに注目!)。逆にいえば、顔の大きさの 半分の鏡 があれば、自分の顔全体を ミラーれる ということです。ね、面白いでしょ!?
PR
-- 2014.05.27
先日、日本の文具メーカー PILOT の『フリクションボール』というペンをもらった。普通の水性ボールペンと違うのは、ペン先の反対側にあるゴムでこすると、インクが消える点。ボールペンの文字を消す必要性があるのかどうかは不明だが、面白いので愛用している。
いったいどういう仕組みだろう?ペンの側面を見るとこんな注意書きがある↓↓↓
・60℃以上になるとインキが無色になります。
・−10℃前後になると消去した筆跡が戻る場合があります。
なるほど。このペンの性質と注意書きからわかるのは、使われているインキが熱応答性をもち、常温付近において二つの状態(色付きと透明)を取り得るということだ。
下の図を見てほしい↓↓↓
フリクションボールで紙に書いたインクをゴムでこすると 摩擦熱 が発生する。この摩擦熱で60℃以上まで局所的に熱をもったインクは、色付きの状態から透明な状態へと遷移する。常温付近へ戻るときは透明な状態を保っている(図の黒矢印)から、インクは消えたままである。
しかし、インクの成分がなくなったわけではなく、あくまで透明になっただけ。従って、さらに温度を下げていくと、ある点(マイナス10℃付近)で透明な状態から色付きの状態へと戻る。実際に、一度こすって消したインキの上に ドライアイス を押し当てると、文字が再び浮き上がってきた(← 実験室で試していたら、ラボのメンバーも大喜び)。
図に示したような曲線を ヒステリシス といい、磁石に近づけたクリップが磁石になる現象(磁化)や、形状記憶合金 なども同じようなヒステリシスに基づく。フリクションボールに具体的にどんなインク材料が使われているのかはわからない(特許は公開されている模様)が、実によくできているな。こういうインクを狙って作るのはかなり難しいと思うので、おそらく一番最初のきっかけは偶然の発見によるものと推測する。
ところで、フリクションボールの注意書きには
・証書類・宛名書きには使用できません。
ともある。どうやらこれは、『フリクションボールを使って公式文書を不正に書き換え』という最近の事件を苦慮してのものと思われる。
勤務表をフリクションボールで記入
→ 上司の許可印をもらう
→ 消して都合良く書き換えた後、経理に提出(余分にお金を受給)
という寸法らしい。よく考えたものだ(苦笑)
上司のみなさんは、疑わしい人物が提出してきた書類は 冷凍庫 にしばらく保管しておくとよい。不正はすぐに見抜ける (^ ^;)
いったいどういう仕組みだろう?ペンの側面を見るとこんな注意書きがある↓↓↓
・60℃以上になるとインキが無色になります。
・−10℃前後になると消去した筆跡が戻る場合があります。
なるほど。このペンの性質と注意書きからわかるのは、使われているインキが熱応答性をもち、常温付近において二つの状態(色付きと透明)を取り得るということだ。
下の図を見てほしい↓↓↓
フリクションボールで紙に書いたインクをゴムでこすると 摩擦熱 が発生する。この摩擦熱で60℃以上まで局所的に熱をもったインクは、色付きの状態から透明な状態へと遷移する。常温付近へ戻るときは透明な状態を保っている(図の黒矢印)から、インクは消えたままである。
しかし、インクの成分がなくなったわけではなく、あくまで透明になっただけ。従って、さらに温度を下げていくと、ある点(マイナス10℃付近)で透明な状態から色付きの状態へと戻る。実際に、一度こすって消したインキの上に ドライアイス を押し当てると、文字が再び浮き上がってきた(← 実験室で試していたら、ラボのメンバーも大喜び)。
図に示したような曲線を ヒステリシス といい、磁石に近づけたクリップが磁石になる現象(磁化)や、形状記憶合金 なども同じようなヒステリシスに基づく。フリクションボールに具体的にどんなインク材料が使われているのかはわからない(特許は公開されている模様)が、実によくできているな。こういうインクを狙って作るのはかなり難しいと思うので、おそらく一番最初のきっかけは偶然の発見によるものと推測する。
ところで、フリクションボールの注意書きには
・証書類・宛名書きには使用できません。
ともある。どうやらこれは、『フリクションボールを使って公式文書を不正に書き換え』という最近の事件を苦慮してのものと思われる。
勤務表をフリクションボールで記入
→ 上司の許可印をもらう
→ 消して都合良く書き換えた後、経理に提出(余分にお金を受給)
という寸法らしい。よく考えたものだ(苦笑)
上司のみなさんは、疑わしい人物が提出してきた書類は 冷凍庫 にしばらく保管しておくとよい。不正はすぐに見抜ける (^ ^;)
-- 2014.03.11
STAP 細胞の論文を巡る議論の収拾がつかない。論文内容を精査するほど専門分野は近くないが、同じ科学者として少しだけコメントをしたい。
まず、研究者でない方にもわかってほしいのは、研究者が成果を論文にするということは、
「完全なる解明」さもなければ「偽造」
…こんな両極端な話では ない、ということだ。
発表された科学的内容が再検証・覆るという事は、理論系 ではよくある。
たとえば宇宙物理、素粒子理論の研究はこれの繰り返しで、実験で証明されて初めて認められる。(ヒッグス粒子の予言は、去年実験でその存在が確認されてノーベル賞を受賞した。実験で証明されなければノーベル賞はもらえなかっただろうが、実験で証明される前に論文を出していなくてもノーベル賞はもらえなかっただろう。)
逆にいえば、実験系 の論文内容が覆るという事は、(往々にして起こりうるけど)発表後には起こるべきではない。ボクは実験化学者なので、昔、論文を書く時に指導教官から、
― 未解明の点が残るのは常なので、それを気にしていては 永遠に論文は出せない。
― ただし、論文の根幹となる結論が覆るようなことは あってはならない。そのため、未解明の点を把握し、それがどう転んでも(仮に細かい修正が入ることがあったとしても)結論が変わらない段階で論文を出すこと。
とよく指導された。つまり、意図的に欺くつもりがなくても、「どこまで結論付けてよいか」の見極めを誤ると大変なことになる。特に今回の STAP 細胞は信じがたいようなインパクトのある実験結果なので、その辺は大丈夫かなという心配は同じ研究者としてある。
心配を増大させる要因として、英文の転用 も報道されていた。論文を書くとき、
「信頼できる熟練者の書いた論文の良い表現は、どんどん盗んで使えばいい。ただし、丸々同じという箇所は 一文たりとも残すな。」
※ 例外はあり、ルーチン実験の手順・使用装置の記述は『自分が出した論文』をコピペ しても文句は言われない。
というのは常識的なお約束だ。これは科学的内容の是非とは直接関係ないことだが、こういうマナーを守らないと論文の信ぴょう性まで疑われかねない。この点に関しては、該当部分の文章を書いた人のみの倫理観の問題(著者は全員 PhD なので)であり、他の共著者にまで責任を課すのは酷である。(今回は大勢の人の目にさらされたことで指摘されたが、そうでもなければ他の共著者が過去の論文一文一文をチェックすることなど、事実上不可能なので。)
このように、今の段階で既に研究論文として、また研究グループとしての未熟さが少し露呈してしまったわけだが、それもこれも大発見に近づくための代償といったところか。まさか著者らが意図的に欺いた偽造などという 最悪なシナリオにはならない と、信じている。
ボクの書く論文も、誰かが英文の転用がないかチェックをしてくれる日が来ますように!その誰かはきっと、ケチをつけられず “おもしろくない” だろうけどね(笑)
まず、研究者でない方にもわかってほしいのは、研究者が成果を論文にするということは、
「完全なる解明」さもなければ「偽造」
…こんな両極端な話では ない、ということだ。
発表された科学的内容が再検証・覆るという事は、理論系 ではよくある。
たとえば宇宙物理、素粒子理論の研究はこれの繰り返しで、実験で証明されて初めて認められる。(ヒッグス粒子の予言は、去年実験でその存在が確認されてノーベル賞を受賞した。実験で証明されなければノーベル賞はもらえなかっただろうが、実験で証明される前に論文を出していなくてもノーベル賞はもらえなかっただろう。)
逆にいえば、実験系 の論文内容が覆るという事は、(往々にして起こりうるけど)発表後には起こるべきではない。ボクは実験化学者なので、昔、論文を書く時に指導教官から、
― 未解明の点が残るのは常なので、それを気にしていては 永遠に論文は出せない。
― ただし、論文の根幹となる結論が覆るようなことは あってはならない。そのため、未解明の点を把握し、それがどう転んでも(仮に細かい修正が入ることがあったとしても)結論が変わらない段階で論文を出すこと。
とよく指導された。つまり、意図的に欺くつもりがなくても、「どこまで結論付けてよいか」の見極めを誤ると大変なことになる。特に今回の STAP 細胞は信じがたいようなインパクトのある実験結果なので、その辺は大丈夫かなという心配は同じ研究者としてある。
心配を増大させる要因として、英文の転用 も報道されていた。論文を書くとき、
「信頼できる熟練者の書いた論文の良い表現は、どんどん盗んで使えばいい。ただし、丸々同じという箇所は 一文たりとも残すな。」
※ 例外はあり、ルーチン実験の手順・使用装置の記述は『自分が出した論文』をコピペ しても文句は言われない。
というのは常識的なお約束だ。これは科学的内容の是非とは直接関係ないことだが、こういうマナーを守らないと論文の信ぴょう性まで疑われかねない。この点に関しては、該当部分の文章を書いた人のみの倫理観の問題(著者は全員 PhD なので)であり、他の共著者にまで責任を課すのは酷である。(今回は大勢の人の目にさらされたことで指摘されたが、そうでもなければ他の共著者が過去の論文一文一文をチェックすることなど、事実上不可能なので。)
このように、今の段階で既に研究論文として、また研究グループとしての未熟さが少し露呈してしまったわけだが、それもこれも大発見に近づくための代償といったところか。まさか著者らが意図的に欺いた偽造などという 最悪なシナリオにはならない と、信じている。
ボクの書く論文も、誰かが英文の転用がないかチェックをしてくれる日が来ますように!その誰かはきっと、ケチをつけられず “おもしろくない” だろうけどね(笑)
-- 2014.01.21
シカゴは、ニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ北米第三の大きな都市だ。その割に、シカゴの日本での知名度は極端に低い気がする。そもそも、シカゴが イリノイ州 にあるということをどれくらいの人が知っているのだろう?(笑)カブス もマー君にフラれちゃったしね…
ともあれ、シカゴは大きな街、周辺には数多くの大学もある。シカゴ大、私のいるノースウェスタン大、少し離れてイリノイ大アーバナシャンペーン校、両隣にはミシガン大、ウィスコンシン大などなど、いぶし銀(!?)の名門校が揃う。このレベルの大学が、中西部だけでこんなにゴロゴロあると考えると、やはりアメリカの大学は層が厚いなぁと思う。
この地の利を生かしたい!
この思いを形にすべく、ボストンの会議でたまたま知り合ったシカゴ大の日本人研究者と意気投合し、Japanese Researchers Crossing in Chicago (JRCC) という研究交流会を発足させた。目的は大きく2つ、
(1)留学を予定する方とシカゴ在住の研究者の橋渡しとなり、シカゴ周辺への留学に際する不安や苦労を少しでも減らす。
(2)研究交流会を二ヶ月に一度程度、開催していく。「シカゴ」「日本」「サイエンス」を共通点とすることで、普段知ることが少ない研究分野に触れる機会を作る。
というわけで、ウェブページ(興味のある方は "Japanese Researchers Crossing in Chicago" で検索!)を作り、さっそく交流会をスタートした。
第1回の交流会は、人が集まるか不安だったが、13人ほど集まり大いに盛り上がった。宇宙物理学者、ホヤの研究者、数学者(数学オリンピックメダリスト)、化学者など多岐に渡り、単に面白かったというよりは刺激的だった。サイエンスの話でこんなに刺激を受けるなんて、ボクはやっぱり「工学者」ではなく「科学者」だな(科学者でありたい)、と改めて感じた。
(なぜか工学博士なんだが…)
今後も継続して機能していくように、回を重ねて何とか土台作りをしていきたい。
ともあれ、シカゴは大きな街、周辺には数多くの大学もある。シカゴ大、私のいるノースウェスタン大、少し離れてイリノイ大アーバナシャンペーン校、両隣にはミシガン大、ウィスコンシン大などなど、いぶし銀(!?)の名門校が揃う。このレベルの大学が、中西部だけでこんなにゴロゴロあると考えると、やはりアメリカの大学は層が厚いなぁと思う。
この地の利を生かしたい!
この思いを形にすべく、ボストンの会議でたまたま知り合ったシカゴ大の日本人研究者と意気投合し、Japanese Researchers Crossing in Chicago (JRCC) という研究交流会を発足させた。目的は大きく2つ、
(1)留学を予定する方とシカゴ在住の研究者の橋渡しとなり、シカゴ周辺への留学に際する不安や苦労を少しでも減らす。
(2)研究交流会を二ヶ月に一度程度、開催していく。「シカゴ」「日本」「サイエンス」を共通点とすることで、普段知ることが少ない研究分野に触れる機会を作る。
というわけで、ウェブページ(興味のある方は "Japanese Researchers Crossing in Chicago" で検索!)を作り、さっそく交流会をスタートした。
第1回の交流会は、人が集まるか不安だったが、13人ほど集まり大いに盛り上がった。宇宙物理学者、ホヤの研究者、数学者(数学オリンピックメダリスト)、化学者など多岐に渡り、単に面白かったというよりは刺激的だった。サイエンスの話でこんなに刺激を受けるなんて、ボクはやっぱり「工学者」ではなく「科学者」だな(科学者でありたい)、と改めて感じた。
(なぜか工学博士なんだが…)
今後も継続して機能していくように、回を重ねて何とか土台作りをしていきたい。
-- 2014.01.07
大学の建物の前で、濡れたタオルを振り回す 変なヤツ がいた ↓↓↓
ダウンロード
(今日は同じ研究室の相棒リカルドが居なかったので、同じ学科のナイキくんに頼んだ。この動画を撮影するためだけに、電話で呼び出し。)
ダウンロード
(今日は同じ研究室の相棒リカルドが居なかったので、同じ学科のナイキくんに頼んだ。この動画を撮影するためだけに、電話で呼び出し。)